手紙という拳で殴り合う5人の珍名男女
タイトル:三島由紀夫レター教室
作者:三島由紀夫
出版社:ちくま文庫
価格:562円
ページ数:227ページ
発行日:1991年12月4日
この本は・・・
手紙のやりとりのみで、20~40代の男女5人が恋、嫉妬、金の無心、策略などを繰りひろげます。筆まめ。
特に大きな事件はないが、登場人物の心模様が手紙を送る相手にユーモラスに語られており飽きずに一気に読めます。
作者から読者への手紙も収録されて、三島ファンの心をグッと掴むことも忘れません。
作者は三島由紀夫、他の作品と異なり軽妙な語り口でポップな印象。
他に軽めに読める作品に『不道徳教育講座』『反貞女大学』などがあります。
登場人物が魅力的
- やり手の未亡人…氷ママ子
- 女好きチョビ髭デザイナー…山トビ夫
- 愛嬌あるOL…空ミツ子
- 貧乏劇団員…炎タケル
- 欲望に忠実な怠け者…丸トラ一
厄介な人はいますが悪人はいないので、のほほんした気持ちで読み進めてください。
いち押しは丸トラ一。
テレビ、バター・ピーナツ、ショートケーキ、ペンフレンド…彼の興味はだいたいこれ。
そんな彼は人から笑われたりするような存在でありながら、それを逆手に相手の懐に飛び込み自分の要求を通すことができるしたたか者です。
丸トラ一より氷ママ子へ心中の誘いは、個人的にこの本のクライマックス。
最終的には「夕食をおごりに来てくださいね。」と心中相手にご飯おごらせようとします。
こんなイメージ
最後に
内容は軽くページ数も多くはないので、40~50分で読み終わりました。
読み終わっても特に考察するでもなく、悶々とすることもないのですっきりとした気持ちで本を本棚にしまえます。
秋の夜長、とはいえ夜更かしは体に良くないので、この本はお休み前に丁度いいのではないでしょうか。
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