日本中からかき集めた変な話
タイトル:日本の昔話
作者:柳田国男
出版社:新潮社(新潮文庫)
価格:400円(税別)
ページ数:188ページ
発行日:2010年6月10日(初版昭和58年6月25日)
この本のあらすじ
民俗学者の柳田国男とそのチームが、昔からの言い伝え、昔話を日本各地で集めてきて1冊の本にまとめたものです。
人から人へ伝わったお話で、似たような話があったり長さもバラバラで、短いものは3行で終わります。知っている話もいくつかあるのではないでしょうか。
話の数は驚異の108!煩悩の数だけ収録されています。
後半は正直飽きがきたのですが、不意に突拍子も無い話がでてくるので気は抜けません。
世界観がついていけなかったり、さらっと残酷な内容があったり、こんな話を子供に聞かせたの?と疑いたくなるものも含まれているのが大らかです。
特に気になった2話
教訓めいた話や何のために伝承したのか分からない話が多数でてくる本作ですが、特に気に入ったというか気になった作品をピックアップ!
- 狸(たぬき)と田螺(たにし)
- 分別八十八(ふんべつやそはち)
「狸と田螺」は昔話らしく、ズルをして競争に勝とうとした田螺が痛い目にあう話です。ずるくて、でも憎めなくて、可愛げがある。
狸はともかく、なぜ田螺なのか?まずそのキャスティングで引っかかりますが、読んでいるときは昔話脳になっているので違和感はそれほど感じません。
「分別八十八」はひどい話です。
悪知恵の働くやつが悪いやつに入れ知恵して、さらに巻き込まれた人達がいて、最終的に悪知恵の働くやつがおいしい思いをするという、後味悪いし共感できないし教訓もないし、聞いた子供はどう思うのか。
でも読み物として面白かったです。
最後に
ありえない設定も不可思議なキャストもポカンとするラストも、どれも「だって昔話だし。」で済まされてしまうおおらかさが魅力の作品です。
オチがない話も言い伝えなのでリアルに感じました。
1話ずつが短いので隙間時間に少しづつ進めることもできる、忙しいけど読書がしたい方におすすめしたい本です。
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