自称火星人と対峙する恐怖
タイトル:人間そっくり
著者:安部公房(あべこうぼう)
出版社:新潮社(新潮文庫)
価格:460円(税別)
ページ数:208ページ
発行日:1976年5月4日発行
地球人か、地球病にかかった火星人か
ある日、ラジオの脚本家の家に男が訪ねてきます。
一見すると貧弱なセールスマン風の男。
しかしてその正体は…火星人だったのです!
ああ、「こんにちは火星人」なんてラジオをやっているばかりに目をつけられてしまった。
火星人「田中一郎」に。
ちょっぴり危険なこの男を、なんとか穏便に家から追い出さなければ!
男は厚かましくて狡猾。
まるでデタラメに思える“火星人人間そっくり説”を自分のペースで畳みかけ、自身が火星人であることをしつこく訴えます。
話を聞くうちに、主人公は自分が何者であるか分からなくなる。
最初は男が火星人であることを信じればいいだけだったのに…。
トポロジー理論とか難しい内容もありましたが、そこをやり過ごしても楽しめました。
舞台はほぼ団地の部屋の中で、主人公と男の会話によって話が進んでいきます。
こんな日常的な舞台がまるで異質の空間になっているのがおもしろかったです。
昔テレビで見た“金星人人間そっくり説”
個人的な宇宙人のイメージは上のイラストのタコ型火星人ですが、昔「ビートたけしのTVタックル」という番組で、韮澤潤一郎さんが金星人の写真を公開していました。
普通のスーツ着た西洋人
たけしさんは笑いながらも「本物かもしれない」的なことを言っていた記憶があります。
金星人である証拠も、金星人でない証拠もない。
この作品を読んでふと思い出しました。
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