アガサ・クリスティー『春にして君を離れ』を読みました

アガサ・クリスティー読書感想文

哀しき良妻賢母

アガサ・クリスティー

タイトル:春にして君を離れ

著者:アガサ・クリスティー

出版社:早川書房(早川文庫)

価格:680円(税別)

ページ数:331ページ

発行日:2012年12月15日発行

この本のあらすじ

 優しく仕事も成功している夫、かわいい三人の子供たち。

何不自由なく暮らし「自分がしっかりしていればこそ、この家は安泰」と自負していた主婦ジェーン。

そんな中、急病の次女の世話をしに行った帰りに、女学院時代の友人に出会う。

友人からの何気ない言葉が引っかかり、帰る途中に足止めを食った砂漠の宿泊所で、自分の人生を振り返る。

なぜ友人はあんなことを?そういえばあの時の夫の表情はなに?いつぞやの子供たちの態度は一体…。

日常の中の小さな違和感、気づかないようにしていた真実が次々湧き上がり彼女に迫る。

自分の信じていた世界が崩れていく。

良かれと思って

主人公のジョーンは決して悪い人ではありません。

社交的で若々しく、愛情を持って夫や子供たちにとって最良と思えることをしてきました。

妻として母として、私がしっかりしなくちゃ!

でも家族のために最良と思い込んだ選択は、ジョーンのためのものでした。

そのことで夫も子供たちも苦しんできたのです。

夫が、条件のよい弁護士事務所の仕事を蹴って、農場を経営したいという願いを止めたり、子供たちの付き合う相手に口をだし人生に干渉したり。

相手が何を言っても響きゃしない。

何しろ自分こそが正しいのだから。

実はひとりぼっちだった

春にして君を離れ子供たちは逃げるように巣立ち、夫は疲れきって彼女と話し合う気力もないといった様子。

完璧で幸せな家族…そう思っているのは彼女だけ。

それに気づいた時、彼女はこれからの人生の大きな選択をします。

「春にして君を離れ」読んだリアクション

読んだ時のリアクション

 

 

アガサ・クリスティーといえば「ミステリーの女王」

しかし「春にして君を離れ」は特に大きな出来事はありません。

ひたすらジョーンが砂漠の鉄道宿泊所で悶々としています。

それが読み手に怖さを感じさせるのは、これが特別な物語ではなく身近なことだからじゃないでしょうか。

夫に安定した仕事を望んだり、子供のやることに干渉したり、孤独を感じたり。

ただジョーンの場合は、相手に対する思いやりや尊重する気持ちがなく、一方的に自分の意見を押しつけるのです。

ジョーンは、落ちぶれた友人を上から目線で憐れんだり、自分が友人のような人生でないことを神に感謝したりとなかなかに性格悪いですが、友人を下に見てなんとか自分を保っていたのかもしれません。

 

ハラハラしながら一気読みしました。

「春にして君を離れ」って響きもいいんですよねぇ。

オススメの一冊です!

ちなみに次女の世話をしにイギリス〜イラクのバグダッド間を往復するのですが、地図で見たらかなり遠くて驚きました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました