商品情報
タイトル:雨の名前
著者:高橋順子(文)、佐藤秀明(写真)
出版社:小学館
価格:2640円(税込)
ページ数:159ページ
発行日:2002年1月1日発行(初版2001年6月20日)
この本の内容
出版社の説明文には
古来からの「雨の名前」をキーワードに、詩と短文・写真で、現代日本人の暮らしのネッコに迫る。カラー版で楽しむ「辞典+歳時記+エッセイ+写真集」
とあります。
【目次】
春の雨
夏の雨
秋の雨
冬の雨
季(とき)知らずの雨
季節ごとの名前と、その他の名前でまとめられています。
雨の名前422語、雨の写真148点、雨の詩とエッセー35篇
と盛りだくさんの内容。
美しい写真、雨を慈しむ文、そして外は雨
現象に応じて、また季節や地方によって、さまざまな名前がつく雨。
そんな雨の名前を、説明文をそえて紹介しています。
美しかったり、ユーモラスだったり、こんなに豊かに表現されることに驚かされる雨の名前。
そこに添えられた雨の写真。
しっとりとした空気感漂う雨の写真は、日常の風景を切りとったような、飾り気のない美しい雨の景色。
原風景を思わせる写真を眺めながら、雨の名前の由来に感心したり驚いたり。
雨は、恵も災害ももたらしながら、昔から人々の暮らしに深く関わっていたんですね。
雨の日に読むと、さらにこの本の魅力が増します。
珍妙な雨の名前ランキングベスト3!
数ある雨の名前の中から、よりによってなぜその名前を?と思った名前をランキングしました。
3位 大根摺(だいこんず)り
島根県八束郡で、霙。
一面、大根をおろしたように見えるからか。だとすれば旬は過ぎたが、大ぶりのサンマでも求めようか。何によらず命名の妙は、対象にいかに深く寄り添うか、ということかもしれない。
冬の雨です。
霙(みぞれ)をすりおろした大根に見立てるなんてシャレてるな〜と思いつつ、大根おろしでビチャビチャになったアスファルトとか想像すると掃除大変そう。
2位 高野(こうや)のお糞流(ぐそなが)し
奈良県南大和郡の言葉。
「高野」は高野山。陰暦三月二十、二十一日に降る雨。厠(かわや)が転じて便所を「高野(こうや)」といった地方があるので、それと掛けているのだろうか。聖なる山高野は糞までも尊し。
春の雨です。
糞に“お”をつけるほど神聖な高野山。
しかし雨の名前で「お糞流し」とは。
自分には絶対思いつかないフリースタイル!
自由な発想がすごすぎます。
1位 婆威(ばばおど)し
長崎県南高来群で、夕立のこと。
庭一面に豆でも干していたか、あわてふためく婆の姿。爺は柴刈りに出ていて留守。
おおらかな民話の世界を見るようだ。
夏の雨です。
まず語呂がいいですね。
ばばおどし!
おどされたお婆さんはたまったもんじゃないけど、その光景を想像してクスッと笑ってしまった名前です。
最後に
美しい写真と愉快な雨の名前、そして間には雨に関するエッセー。
気負いなく、ふとした時にページをめくりたくなる本です。
本格的に雨の名前を調べたい人には物足りないかも。
叙情的な内容です。
ベスト3に他にも
騎月雨(きげつう)、薬降(くすりふ)る、くかるあまーみ、虎(とら)が雨(あめ)、万物生(ばんぶつしょう)、分龍雨(ぶんりゅうのあめ)、風(かぜ)の戯(そば)え。
などなど、興味のわく名前がたくさんありました。
梅雨の季節になると、本棚から取りだす本です。
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