商品情報
タイトル:屑の結晶
著者:まさきとしか
出版社:光文社
価格:1700円(税込1870円)
ページ数:309ページ
発行日:2019年9月30日発行(初版)
この本のあらすじ
小野宮楠生(おのみやくすお)33歳が、ビル清掃員の亀田礼子と元交際相手の山本若菜を殺害した容疑で、逮捕・起訴された。
取り調べでは「誰を殺そうと自由」と供述し、送検時には満面の笑みでピースサインをして見せたりと、反省の色がない。
あげく、恋人と名乗る女性たちが次々現れ、世間では「くすお」の名前から「クズ男」と呼ばれた。
そんな楠生の恋人たち(クズ女)は「小野宮楠生を救う会」を結成。会員7名。
楠生を救うべく、弁護士宮原貴子(宮原貴子)に弁護を依頼する。
だって楠生を愛してるんだもん。
楠生を愛し、楠生に愛された女たち。ファミリーなんだもん。
そんなわけで、依頼を引き受けた宮原貴子は、調査を開始するもなんだか違和感を感じる。
楠生、嘘ついてないか?
真実を知りたいと調査を進める貴子は、楠生の幼少時代に暮らしたM町に、その答えを探す。
登場人物
宮原貴子
49歳弁護士親に認めてもらいたくて勉強をがんばったのに、母からは可愛げがないと疎まれる。母との関係に悩みつつ、今は亡き弟と楠生を重ね合わせている。
楠生の弁護をする。
小野宮楠生
33歳イケメンでチャラい ヒモをしていて無職。
2人の殺人容疑で起訴されている。
当初は認めていたものの、起訴後、亀田礼子(70歳)への犯行を否認した。
クルクル変わる表情、人懐っこい笑顔、ツギハギのような人格、とつかみどころがない。
吉永ひとみ
49歳救う会代表都内で3店舗ネイルサロンを経営する美魔女。
楠生大好き楠生がいないと生きていけない。
自分の知らない楠生を知る女、許すまじ。
亀田礼子
70歳清掃会社パート無愛想でいつも不機嫌そう話しかけられても無視することも。
M町で暮らしていたことがあるが、いい思い出はない。
埼玉でひとり暮らし。
山本若菜
33歳ファミリーレストランアルバイト中学2〜3年のときM町に暮らす。
プライドが高く周りの評判は悪い。
あまり幸せそうにはみえない。
宍戸真美
33歳 裕福な家庭小さい頃からみんなのアイドルいつも笑顔を絶やさない。
少し抜けたところがあるのが、そこがまた愛嬌があってかわいい。
大手化粧品メーカーのプレス担当。
中学2年までM町にいた母はM町の町長。
読みやすい構成で話が進んでいく
弁護士の宮原貴子の語りを軸に、主要人物がそれぞれ心情、真実を語ります。
この構成で徐々に真相が明かされていくので、どっちかわからずモヤモヤすることはありません。
“答えは読者のみなさんの心の中にある”的な、各々が判断すればいいという終わり方はちょっと苦手なので、読み終えてスッキリできてよかったです。
逆にいろいろ考察したい場合はもの足りないかも。
主要人物の多くが家族との関係に問題を抱えていて、全体的にどんよりとした空気をまとっています。
自分を見てほしい…認めてほしい…愛情を求める姿が切ないです。
あっこれ火サスだ!
読んでいる途中でふと「これどこかでみたような…?」と思ったのですが、2時間サスペンスドラマだと気づきました。
特に浅見光彦シリーズだな〜。
沢村一樹さんバージョンがお気に入りです。
中村俊介さんも捨てがたい。
サスペンスドラマ好きとしては、この展開はうれしかった。
最後に
あれを勘違いしなければ。
あのアイテムはそんな意味だったのか。
いろいろ語りたいこともあるのですが、これ以上はネタバレしてしまいそうで。
あまり救いはなかったです。
個人的には、山本若菜がもう悲しすぎて…。
本を読んでいると、これなんだっけ?となって前のページに戻ることもあるのですが、こちらはわかりやすい構成で、戸惑うことなくスルスル読めました。
切なく救いのない話ですが、登場人物たちに思いを馳せつつ読書時間が過ごせると思います。
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