もう完全にタイトルに食いついてしまいました。
大蛇が図書館をうろつくってどんな状況?
このタイトルを考えた人の思惑どおりに動いてるな〜と思いつつ、好奇心に負けました。
こちらは「先生シリーズ」として他にも出版されています。
先生、カエルが脱皮してその皮を食べています!
先生、キジがヤギに縄張り宣言しています!
先生、モモンガの風呂に入ってください!
先生、ワラジムシが取っ組みあいのケンカをしています!
先生、イソギンチャクが腹痛を起こしています!
先生、犬にサンショウウオの捜索を頼むのですか!
などなど。
本の後ろで14冊紹介されているので、これがシリーズ15冊目かな。
今回の本はシリーズの最新刊です。
商品情報
タイトル:先生、大蛇が図書館をうろついています!
著者:小林朋道(こばやしともみち)
出版社:築地書館
価格:1600円(税込1760円)
ページ数:184ページ
発行日:2020年4月2日発行
この本の内容
鳥取環境大学の教授である小林朋道先生が、大学で起きたオモシロ珍事件や、専門の動物行動学について綴っています。
動物のことが中心ですが、それだけでなく学生の話や大学のノベルティの話など、大学に関わるエピソードもでてきます。
気さくな人柄がにじみでる…というか垂れ流しているくだけた語り方で、まるで先生が目の前で話しかけてくれているよう。
物語ではないので、シリーズのどこから読んでも大丈夫!
最新刊だけでも楽しめました。
この本の目次
- はじめに
- ヘビ好きの二人のゼミ学生の話
- ニホンモモンガはテンを大変怖がる!
- Ktくんはニホンアナグマの研究をしている
- ユビナガコウモリはぶら下がって休息するとき、優位個体が劣位個体の背後に乗る⁉︎
- 大学のノベルティ(記念品)とモモンガグッズ
- ホバとの出会いをおもいださせてくれた鳥との出会い
- 鳥取環境大学のヤギの群れのリーダーは………
ヘビ好きの二人のゼミ学生の話
ヘビ好き学生が、ヘビについての卒業研究に勤しみます。
Mgくんは「アオダイショウの登攀行動のメカニズム」の研究を。
まずは、アオダイショウの登り方の行動観察のため、実験室を“ヘビ部屋”にしてヘビを放つ。
ヘビが環境に慣れてきたら実験開始!
アオダイショウは、とっかかりのない垂直な棒にどう挑むのか。
引用
アオダイショウは、単に、全身を棒に巻きつけて登るのではなく、体の中間あたりで棒に、水平に体を強く巻きつけ、その部分を基点にして前半身を上部へ、垂直に近い角度で伸ばしていく。
ということで、この動きの繰り返しでどんどん上に登っていける。
棒に突起をつけると、ちゃんとそれを利用して登るらしい。
しかも平衡感覚抜群!
厚さ1.5mmの塩ビの板も落ちることなく移動できるぞ。
比較対象として調べたシマヘビは巻きつきがやや劣り、棒の直径が4.9cm以上の突起なしの棒は、アオダイショウは登れるけどシマヘビは登れなかったとのこと。
そしてシマヘビよりアオダイショウの方が木の上によく居て、高所を好む。
ヘビもいろいろだなあ。
Wkくんは「ヒトにおけるヘビ特異的認知回路の妥当性と回路の諸特性の分析」というなんとも難しい研究。
ヒトはヘビを見つけやすいという研究結果があるが、ヘビ以外ではどうなのか。
画像を使って、どれを発見するには、どれだけの時間がかかったかを検証。
ちなみに本のタイトルになっている事件はWkくんの話です。
UKtくんはニホンアナグマの研究をしている
Ktくんはニホンアナグマを飼育している中型動物大好きっ子。。
Ktくんの研究テーマは「未成熟個体は、餌を与えたり一緒に過ごしたりしたヒトのニオイを認識しているか」
まずは子供のニホンアナグマ(雌)と、餌を手からあげたり、膝の上に乗せたりして数週間過ごす。
↓
そして同じバスタオルを4枚用意する。
①Ktくんの体のニオイ
②見知らぬ人のニオイ(小林先生)
③実験アナグマ自身の体のニオイ
④市販のタオルのニオイ
↓
この内の2つを選んで容器の2隅に置き、アナグマを放つ。
↓
タオルの組み合わせを変えて、これを何度か実験を行なった。
はたしてアナグマは、どのように行動するのか。
実験の結果、他のタオルよりも一番、Ktくんタオルに座ったり、うつ伏せになったり、もぐりこんだりした。
しかもタオルにもぐる動作をしたのはKtタオルだけだった。
かわい〜。
あとは溜め糞の研究も。
Ktくんはいつか「アナグマの生態を見ることができるような動物公園」をつくりたいらしい。
まとめ
アオダイショウとニホンアナグマの他にも、興味深い動物たちがたくさん登場します。
強いユビナガコウモリの他のコウモリへのマウントのとり方とか、ヤギの群れのリーダー「クルミ」と他のヤギたちとの関係性とか。
写真も載っており、愛らしいモモンガからアナグマの糞まで、バラエティに富んだラインナップとなっております。
コウモリもつぶらな瞳でかわいいんです。
牧歌的な雰囲気が漂う中、人間と野生動物との関わりについての問題などもあり興味深く読みました。
サクッと動物の雑学が読みたい方におすすめです。
腰をすえて動物の話が読みたい!という方には「シートン動物記」がおすすめ。
シートン動物記を読んだのはもうずいぶん前ですが、オオカミの話がかっこよくて、何度も読み返した記憶があります。
さまざまな動物たちが登場し、ホント?と思うくらいドラマチックな展開にも夢中になりました。
児童書が多いかな?
お子さんから大人まで、動物好きはもちろんのこと、そうでない方にも物語として楽しめる内容です。
ガッツリ動物!ってほどじゃないんだけど…。
そんな時は、こちらの先生シリーズがぴったりですよ。
スラスラ読めるなか、害獣問題という難しい課題に考えさせられる部分もあったり、動物の行動についての雑学も身につきます。
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