一時ほどの暑さではないものの、まだまだ汗ばむ季節。
残暑め、やってくれますね。
今年は異例尽くしで、ストレスもたまります。
そんな時は“海”にまつわる物語で、開放的な気分に浸ってみませんか?
本棚を整理したらでてきたこの一冊、お盆に読んでいました。
ずいぶん前に古本屋で購入したのですが、帯が深キョン!
深キョン欲しさに買った気がする。
予備知識ゼロなので、タイトルと装丁から勝手に中身を予想。
⚫︎ある男性が浜辺にたたずみ、いつかのやさしい記憶をたどる。
⚫︎少年たちのひと夏の冒険。
⚫︎彼女の恋は、波とともにやってきた。
…みたいな。
甘酸っぱいとか、おだやかな内容かと思ったんです。
読んでみたら全然違う!
ほぼ不可思議です。
商品情報
タイトル:海の短篇集
著者:原田宗典(はらだむねのり)
出版社:角川書店(角川文庫)
定価:380円(税込418円)
ページ数:146ページ
発行日:1997年2月21日発行
この本の内容
もともとはラジオ放送用に書いた短い作品を、大幅に加筆して一冊の本にまとめたものです。
舞台はすべて海外の海。
主人公が、突然ありえない不可思議な経験をする話が12話そろっています。
「世にも奇妙な物語」のような雰囲気でしょうか。
旅先で出会う現地の人、なにげない会話からふいに漂うあやしい空気。
身の危険を感じるもの、ただ不思議なもの、それいいな〜となるものなど、短い話ですがそれぞれのテイストがあり、飽きることなく読み進められます。
どこの国の海かわかりませんが、美しい砂浜と海の描写で、頭の中には南国のビーチがありありと。
また観光客相手に商売しているであろう現地の人が、ちょっと強引であったり人懐っこかったりで、あぁ日本じゃないんだなと感じさせます。
この本のもくじ
取り憑く島
何を入れる箱
願いをひとつ
黒魔術
成長する石
デジャヴの村
岬にいた少女
夕陽に間に合えば
人の魚
中には何が
贋のビーチ
美しすぎる風景
あとがき
この本の感想
主人公がいろいろと不思議な出来事に遭遇するのですが、終始ナゾのままです。
その出来事に意味なんてないし、なぜそうなったのか理由もなにもわからない。
なので読んでいる自分も主人公と同じ、なにもわからないままなのです。
ただゾッとしたり、ポカンとしたり。
妙な体験をする主人公とともに、読んでいるこちらもその世界を疑似体験できます。
ただしうれしくない体験が多い。
「どういう事?」と戸惑っているあいだに話が終わってしまい、置いてきぼりをくらうというおもしろさもありました。
短いお話なので説明するとほぼネタバレになってしまい、あまり内容をお伝えできないのが歯がゆいです。
サラッと読めてあとはなにも残らない、そんな潔い読後感でした。
まとめ
暑さでバテた体には、このただ純粋に不可思議な世界がピッタリでした。
どういうときにこの現実にはない現象を思いつくのだろう。
創作するってすごいですね。
短い時間しかとれない、
今は深く考えたくない、
「世にも奇妙な物語特別編」を楽しみにしている、
そんな方々にオススメの一冊です。
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